「親なきあと問題」を考える講演会で、障害年金についてお話ししました


11月1日(日)、広島市中区の合人社ウェンディひと・まちプラザにおいて、「親なきあと問題」をテーマとした講演会が開催され、私も社会保険労務士として、障害年金についてお話しする機会をいただきました。
今回の講演会は、株式会社はっぴぃandプロジェクト様の主催によるもので、テーマは**「親なきあと問題 ― 何をどう遺す? 障がいのあるご家族のための『お金』と『情報』の備え」**。
障害のあるお子さんの将来に向けて、生活に必要な情報をどう残すか、経済的な備えをどうするか、相続や成年後見制度をどう活用するかなど、さまざまな専門家がそれぞれの立場からお話しする講演会でした。
私はその中で、**「障害のあるお子さんの将来を支える障害年金」**というテーマを担当しました。
「私たちがいなくなったら、この子はどうなるのだろう」
障害のあるお子さんを育てていらっしゃる親御さんにとって、何よりも気がかりなのは、お子さんの将来ではないでしょうか。
「私たちが元気なうちは何とかしてあげられる。でも、年老いたとき、そして、いなくなった後、この子はどうやって暮らしていくのだろうか」
そんな不安を抱えていらっしゃる方は、決して少なくないと思います。
住まいのこと、食事のこと、医療のこと、日々の生活を支えてくれる人のこと。
考えなければならないことは数多くあります。
そして、その中で欠かすことのできないものの一つが、生活を支える継続的な収入です。
そこで重要な役割を果たす可能性があるのが、障害年金なのです。
障害年金は、20歳から受給できる可能性があります
年金というと、65歳から受け取る老齢年金を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、生まれつき障害のある方や、子どもの頃から病気や障害のある方も、一定の要件を満たせば、20歳から障害年金を受給できる可能性があります。
令和8年度の障害基礎年金は、年額で1級が105万9,125円、2級が84万7,300円です。
2級であれば月額換算で約7万円。
決して十分な金額とはいえないかもしれませんが、継続的な収入があることは、将来の生活設計に大きな意味を持ちます。
ただし、20歳になれば自動的に支給されるわけではありません。また、障害者手帳の有無や等級だけで決まるものでもありません。
だからこそ、早めに制度を知り、準備しておくことが大切なのです。
親御さんの「当たり前の支援」が、大切な情報になります
今回の講演で、私が特に強調したことがあります。
それは、「できること」と「支援なしでできること」は違うということです。
例えば、食事の準備、着替えの声かけ、薬の管理、買い物、病院への付き添い。
親御さんにとっては、毎日当たり前のように行っている支援かもしれません。
しかし、その支援があるからこそ、お子さんの日常生活が成り立っている場合があります。
講演では、こんな問いかけをさせていただきました。
「もし明日から、親御さんの支援がなくなったとしたら、お子さんは一人でどこまで生活できるでしょうか?」
少し厳しい質問かもしれません。
しかし、障害年金の審査では、実際の日常生活でどの程度の支援が必要なのかが重要になります。
できないことを大げさに伝える必要はありません。
大切なのは、普段どのような支援を、どのくらい必要としているのかを、ありのままに伝えることです。
「親なきあと」の準備は、今から始められます
講演では、20歳未満のお子さんをお持ちの方には、病院での受診歴、学校で受けてきた配慮、家庭での日常的な支援という三つの記録を残していただきたいとお伝えしました。
また、すでに20歳を過ぎている方についても、今まで請求していなかったからといって、必ずしも手遅れではありません。
現在の障害状態などによっては、今から請求できる可能性があります。
今回の講演でお伝えした合言葉は、
「20歳前は、今から準備」
「20歳を過ぎても、諦めずに確認」
という二つでした。
親御さんの願いを、願いだけで終わらせないために
私は、障害年金は単にお金を受け取るための制度ではないと考えています。
それは、親御さんの支援がなくなった後も、お子さんが自分らしく、安心して暮らしていくための大切な土台の一つなのです。
もちろん、障害年金だけですべての問題が解決するわけではありません。
住まい、福祉サービス、医療、支援者とのつながり。
それらを一つずつ準備し、つないでいくことが必要です。
そして何より、親御さんがこれまでお子さんのために積み重ねてこられた努力や支援は、決して無駄にはなりません。
その一つひとつを、これからのお子さんの生活を支える力につなげていくことが大切だと思います。
「自分たちがいなくなった後も、この子には幸せに暮らしてほしい」
その願いを、願いだけで終わらせないために。
今回の講演が、お子さんの未来の安心につながる、小さくても確かな一歩になれば、これほど嬉しいことはありません。
私たち社労士事務所フェニックスも、障害年金という専門分野から、ご本人とご家族の将来に寄り添い続けたいと思っています。

