障害年金と生活保護、何が違うの? ― 両方受けることはできる?
障害年金のご相談を受けていると、
「障害年金と生活保護は何が違うのですか?」「生活保護を受けていたら障害年金はもらえませんか?」「障害年金が決まったら、生活保護は打ち切られるのでしょうか?」
という質問をいただくことがあります。
どちらも生活を支える大切な制度ですが、実はその目的や仕組みは大きく異なります。
障害年金は「病気や障害による生活上の支障」を支える制度
障害年金は、病気やけがによって日常生活や仕事に一定の支障がある方を支える公的年金制度です。
対象となるのは身体障害だけではありません。うつ病、双極性障害、統合失調症、発達障害、知的障害などの精神・知的障害のほか、がん、心疾患、腎疾患、糖尿病などの内部疾患でも、状態によっては対象となる可能性があります。
そして大切なのは、原則として「生活が苦しいから支給される」のではないという点です。
初診日や保険料納付などの要件を満たし、障害の状態が一定の基準に該当するかどうかによって判断されます。
そのため、一定の収入がある方やご家族に収入がある方でも、障害年金を受給できる場合があります。
生活保護は「最低限度の生活」を保障する制度
一方、生活保護は、収入や資産、その他利用できる制度などを活用しても、なお生活に困窮する場合に、最低限度の生活を保障するための制度です。
障害年金が「障害の状態」などを中心に判断されるのに対して、生活保護では世帯の収入や資産など生活全体の状況が考慮されます。
ここが二つの制度の大きな違いです。
障害年金と生活保護は両方利用できる?
「では、両方を同時に受けることはできるのでしょうか?」
答えは、一定の場合には可能です。
ただし、障害年金と生活保護をそれぞれ満額受け取って、単純に二つを足せるという意味ではありません。
生活保護では、障害年金は原則として「収入」として認定されます。
例えば、仮にその世帯について算定される最低生活費が月額12万円で、障害年金などの収入が月額7万円相当あるとすれば、そのほかの条件も踏まえて、原則として不足する部分が生活保護費として検討される、という考え方になります。
つまり、
障害年金があるから生活保護を受けられない
ということでも、
生活保護を受けているから障害年金を請求できない
ということでもありません。
それぞれ役割の違う制度なのです。
生活保護を受けている方にも障害年金が大切な理由
「どうせ障害年金が収入として扱われるなら、申請しても意味がないのでは?」
そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、障害年金を受給できる状態であれば、きちんと請求を検討することは大切です。
将来、生活状況が変わったとき、障害年金という継続的な収入が生活を支える柱になる可能性があります。また、生活保護では他法・他施策の活用が前提となるため、受給できる可能性のある障害年金について請求を求められることもあります。
ただし、遡って障害年金が支給された場合などは生活保護との調整が必要になることがありますので、福祉事務所への確認も重要です。
「どちらが得?」ではなく「生活をどう守るか」
私たちが一番お伝えしたいのは、
障害年金と生活保護を「どちらが得か」で比べる必要はない
ということです。
病気や障害によって働くことが難しくなれば、
「これから生活していけるだろうか」「家族に迷惑をかけるのではないか」「治療を続けられるだろうか」
と不安になるのは当然です。
そんなときに生活を支えるために、障害年金や生活保護をはじめとした社会保障制度があります。
制度を利用することは、特別なことではありません。
そして、制度を知らなかったために、本来利用できる支援を受けられないことほど残念なことはありません。
まずは「自分にはどんな制度が使えるのか」を知ること。
それが、これからの暮らしに「安心」を取り戻す第一歩になります。
障害年金について「自分も対象になるのだろうか」と迷われている方は、一人で判断せず、専門家に相談してみてください。
私たちは制度の説明だけではなく、今抱えている不安にも寄り添いながら、一緒にこれからの生活を考えていきたいと思っています。

