障害年金と傷病手当金 ― 両方もらうことはできる?
障害年金のご相談で、とても多い質問があります。
「今、傷病手当金をもらっています。障害年金も申請できますか?」
答えは、申請することはできます。
ただし、同じ病気やけがを理由として障害厚生年金などと傷病手当金を受ける場合には、支給額の調整が行われることがあります。
ここが少し分かりにくいところです。
傷病手当金は「働けない期間」を支える制度
傷病手当金は、健康保険の被保険者が業務外の病気やけがによって仕事を休み、一定の要件を満たした場合に支給される制度です。
会社員の方が、
「うつ病で休職した」「がんの治療で長期間働けなくなった」「病気で手術をして療養している」
といった場合に、休職中の生活を支えてくれる重要な制度です。
支給期間は、支給開始日から通算して1年6か月です。
一方、障害年金は、病気やけがによって一定程度以上の日常生活・就労上の制限が続いている場合に支給される公的年金です。
つまり、傷病手当金が比較的「休職中の所得保障」という性格を持つのに対し、障害年金はより長期的な生活保障としての役割を持っています。
傷病手当金をもらっていても障害年金は申請できる
ここで誤解してほしくないのが、
「傷病手当金を受けているから障害年金を申請できない」ということではない
という点です。
例えば、うつ病で休職して傷病手当金を受けている方が、治療を続けても症状が改善せず、日常生活にも大きな支障が残っている。
そのような場合には、障害年金の要件を満たしていれば請求を検討することができます。
ただし「二重取り」になるとは限りません
注意したいのは、同一の傷病を理由として傷病手当金と障害厚生年金などを受ける場合です。
一定の場合には傷病手当金が調整され、障害年金等の額が傷病手当金の額より少ないときには、その差額が傷病手当金として支給される仕組みがあります。
また、障害年金が遡って決定すると、すでに受け取った傷病手当金について精算が必要になるケースもあります。
「両方の制度に該当したから、そのまま両方を満額受け取れる」と考えないことが大切です。
傷病手当金が終わる前に考えてほしいこと
私たちが特にお伝えしたいのはここです。
傷病手当金には支給期間があります。
ところが、病気や障害は「1年6か月経ったから治りました」とはいきません。
傷病手当金の終了が近づいてきて、
「まだ復職できそうにない」「収入がなくなったらどうしよう」
と慌てて障害年金を調べ始める方もいらっしゃいます。
そうならないためにも、長期療養が予想される場合には、早い段階から障害年金について知っておくことをおすすめします。
傷病手当金は今を支え、障害年金はその先の生活を支える可能性がある。
二つの制度の違いを理解し、途切れることなく生活の安心につなげていく。
それも、社会保障制度を上手に活用するための大切な知恵です。
「傷病手当金を受給中だけれど、この先が不安」という方も、障害年金の可能性を一度確認してみてはいかがでしょうか。


